服飾には大きく分けて2つある。自然素材と魔法素材だ。
汚れに弱いが、物理的な防御力の高い自然素材。
様々な利点を持つが、着用者に僅かな負担をもたらす魔法素材。
今回は、アリアウトの竜人たちの衣類について。
先史の後追い
遥かな昔、このアリアウトに生きていた生物たちは非常に高度な技術を有していたらしい。現在にも残る、滑らかな手触りの布地がそれである。しかし、その製法は失われて久しく、我々は残されたその手掛かりから模索している段階にある。紡績技術は確立されつつあるが、我々の服飾文化は未だ遅れているとも言える。
自然素材と魔法素材
現在最も主流である魔法素材は、茸類を原料に魔法紡績により作成する布を原料としている。手触りは滑らかで光沢のある素材であるが、安定性に課題が残る。というのも、魔法素材はその形状維持に着用者の存在を必要とする。すなわち、布は完成時点から時間経過で劣化していき、着用していないときほど劣化が早まる。一方自然素材は植物繊維や獣毛などを原料とした布であり、加工が困難であるが劣化しにくいという特徴をもつ。一般的な衣類は双方を採用しており、自然素材を芯材として魔法素材をつなぎとして仕立てているものが多い。
服と共に生きる
自然素材のみの服と違い、魔法素材を含む衣類はしばらく着用しないだけでほつれや強度の低下を招く。そのため服は仕立て屋で受注生産が主流であり、一度購入した服は数年に渡り着続けることも少なくない。むしろ子供の頃から成長に合わせて魔法素材を継ぎ足し、一生同じ衣類を使うことも珍しくない。魔法素材のみであれば清浄化魔法の通りもよく、まさにその一着さえあればよい、といった生活をする竜人も多いと記録されている。